左官の仕事、土壁が塗られるまで

投稿日 / 2016-04-28

「仙台を一望する土壁の家」は屋根・基礎が一体となる仕上がりで、まるで地面から隆起したかのような佇まい。

山から採取した土にわらすさを混ぜて作った土壁は荒壁のような立体感を持ち、独特ながらも自然によく調和しています。 この土壁は左官職人が土づくりから塗るところまで丹念に仕上げた職人仕事の賜物。その様子をご紹介します。

■土づくり-下拵え-


写真左から:採取した赤土(奥)と黒土(手前)/踏みほぐした赤土を網で濾していく/黒土をふるいにかけ不純物を取り除く

山で採ってきた土から不純物を取り除いて、土の良い部分を濾しとっていきます。希望の色味と十分な強度を確保するために、赤土と黒土を配合します。

■土づくり-配合-


写真左から:押切ですさを切る/細かいすさ(左)と粗いすさ(右)/濾した赤土にすさと黒土を入れて混ぜる

赤土に断裁したすさを入れ、黒土を混ぜていきます。すさは土同士をつなぎ、土壁を崩れにくくします。こうして混ぜあがった土は、成分を馴染ませるためしばらく寝かせて熟成させます。

■下地加工


写真左から:通気胴縁取り付け/防水紙付ラス網張り/モルタル塗り/モルタル下地養生

防水紙付ラス網+下塗り+メッシュ+上塗りをしたらモルタル下地は完了となります。一週間ほど養生期間を設けて、しっかり乾燥させます。

★土壁というと、竹などを組んだ小舞下地のイメージが一般的ですが、こちらでは通気工法を取り入れたラスモルタルを下地とします。通気層を設けることで壁内結露を防ぎ、湿気を通気層から排出することが可能になります。


写真:仕上がり確認用の土壁見本

■土壁塗り

写真:パレット作り/左官道具のコテ

寝かせていた土を塗り材に加工。食いつき向上と割れ防止のためにすさと砂を混ぜます。混ぜる量とタイミングは職人さんが長年の経験をもとに見極めます。出来上がった土の塗り壁材を取り分け、コテを使って塗りつけていきます。

■完成


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